カジモドの補聴器

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歓楽通り (2003) フランス

監督 パトリス・ルコント 



時代は第2次世界大戦のフランス。主人公は、娼婦の母親から予期せず生まれてしまった男。 
彼は生まれた時からずっと娼館で育ち、外の世界に出たことがない。 
彼の夢は、自分が決めた女性を一生かけて幸せにしてあげることだった。 
そして彼は新しく娼館に来た新米娼婦に対して、その自分の夢を実現させようとするが・・・。



主人公の生まれてから外の世界に出ていないという設定と望まれない存在というのがカジモドに似てるなーと思うんですよ。 
あと、主人公は女性を幸せにしてあげたいのであって、一緒になりたいわけではないらしいです。そのため、彼女が恋をした男性と彼女をくっつけようと努力したりして、この辺りはノートルダムの鐘のカジちゃんにも似てるかな。 
でもって実は主役がQUASIMODO D'EL PARISのカジモド役をやったパトリック・ティムシットなんです。こーゆー役が多いのかなこの人(汗)? 
ちなみに他サイト等に載っていたこの映画を見た人の感想は、主人公が現実離れしすぎてあまり感動できなかったという辛口批評と、凄く良かったというのに別れてます。幻想的な雰囲気です。
あのぶっとびカジちゃんを演じた人が、今度は似たような設定でシリアスなストーリー。
あと、フェビュス役をやったヴァンサン・エルバスも出てるらしい。なんかもうQUASIMODO D'EL PARISに被りまくってますね。


とても切ないお話でした。3人の、心に病気を持った人間のストーリー。そんな感じがしました。 

主人公ルイは、娼館で生まれ育ったため、SEXに関しては愛情表現とは思っていないんです。そのため普通の人間と違い、なにか大切な感情が欠けてしまっている。 

一方、マリオンも諦め切った部分と、夢を観ている部分が同居したような人間。エスメラルダとクリスティーヌを足して2で割ったみたいな感じです。 

そして、彼女をダメにしてしまったディミトリ。彼はギャンブラーで犯罪者でもある、どうしようもない人間です。ある意味、ギャンブル依存症といったところでしょうか。でも純粋な部分もあって、彼女のことは本気で好きみたいです。私は彼を憎むことは出来ませんでした。 
監督さんは彼については、彼女を本当に愛しているかどうかは分からないと言ってましたが、私には彼は本気に見えました。 

誰もいない教会で、ルイを神父の代わりにして、結婚式を上げる3人のシーンは印象的です。 

ストーリーの途中、ルイと子供時代のルイが同じ場所にいるシーンがあります。結局、彼は大人になれなかった人間なのかもしれません。 

ラストは3人の夢が終った、という感じでした。現実に引き戻された主人公。しかし既に何もかも遅かった。 
でもマリオンもディミトリも、苦痛に歪んだ顔をしてなかったのが、幸いです。 
一人残されたルイは、ノートルダム原作のラストのカジモドにも似ています。 

私はこの映画、お勧めできます! 3つ星で評価するなら2つ半といったとこでしょうか。 





ルイがバイクに乗るシーンがあって、中々かっこよかったです。バイクを運転するカジちゃんを想像してしまいました(苦笑)。 
パトリック・ティムシットさんのdiscographyを見ると、「QUASIMODO D'EL PARIS」がフランスで大ヒットって載せてあるんですが・・・じゃあ、なんでフランスでDVDが在庫切れなんじゃ! 納得いかんぞー!